君がいたから
「三河常陸 サッカー部部長 ポジションMF
成績優秀容姿端麗、学年トップ
彼女は3-2の三鏡 伊万里(ミカガミ イマリ)
しかし、ファンクラブが怖いため
ばれない様に、普段は他人にフリをしている」
そこまで言い終えた後
林は深いため息をついた
「俺の情報はこれくらいかな?」
「・・・・」
これくらいって
十分だよ、と言うかどうやって集めたその情報
もしかして、全校生徒の情報を林が握ってたりするのか?
「で、次は」
先ほど机の上に置いた2-3専用のノートを持ち
3-1のノートを机に置く
そして、深く息を吸い込んでから
言葉を紡ぎ始めた
「蒼良上総 コーラス部部長(と言っても部員は一人)
三河常陸に片思い中、・・・・あ・・・」
林の言葉が止まった
「どうした?」と問いかけるが
「あ、いや、なんでもない」
林はただ苦笑いして答えた
しかし、その表情はどこか青ざめているように見える
ノートを持つ手も小刻みに震えている
「それより、俺が持ってる情報はこんだけだから」
「え、ああ・・・有難う」
少し戸惑いながらも返事を返す
その言葉を聞いた林は「どういたしまして」と応えた
「まぁ、頑張れ。相手も片思いだ」
「うん」
首を軽く縦に振る
実を言うと、本当はもう諦めかけてた
自分なんか、上総に似合うはずないって
でも、林に勇気を貰った
頑張らなきゃって思える勇気
「ありがと」
聞こえるか聞こえないかぐらいの声でそう呟く
ありがとう
弱虫な自分を励ましてくれて
勇気をくれて本当に、有難う
微かな願いを胸に秘めて
少女と少年の思いは交差しあう