君がいたから

『ねぇ!お母さん』    笑顔の少年
『青、ちゃんと座ってなさい』    笑顔の両親

前から近づいてくる光
暗くなる視界

そうだ
あの時、確か母さんと父さんは
俺だけを助けるために
俺だけを外に出したんだ


「・・・・・・っ」

頭・・・痛い
俺、確か倒れたんだよな
ピアノ弾いて・・・

「ばっかだなぁ・・・」

こんなにピアノが好きなのに
あんなに弾きたかったはずなのに

「あ、青くん!!目。覚めた?」
「か、ずさ・・・」

保健室の扉が開き
上総と先輩が入ってきた

「大丈夫か?
 いきなり倒れたからびっくりしたよ」

先輩が俺に対してそう言葉を発する

「大丈夫です」

その言葉に俺はそう笑顔で返した

「ねぇ、青くん
 何でいきなり倒れたの?」

上総は俺に向かってそういいながら
お茶の入った紙コップを俺に手渡した
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