君がいたから
「母さん・・・父さん・・・」
数分前
俺は先輩と別れ、自室に戻った
部屋に戻ってすぐに
ベットに倒れこんで言葉を呟く
「俺、今日ピアノ弾いた
少しだけだけど・・・」
少しは進歩したかな?
言葉の続きは心の中で
どうせ言葉にしたって
返事なんて返ってこないから
言葉にしなくていい
「俺、友達もできたよ
林って奴と
上総って子と
常陸って言う先輩」
両親が写っている写真を手に話しかける
返事は返ってこない
当たり前だ
二人はもうこの世界にはいないから
返ってくるはずない
「みんなさ、すっごくいい人で
俺の過去を知っても普通に接してくれたんだ」
あの日、離れたくなくて
必死に手を伸ばした
それでも
伸ばした手は届かなくて
俺は一つの居場所を失った