君がいたから

そして、事故の後に
もう一つの心の拠り所である
ピアノさえも・・・・弾けなくなってしまった

表面には出さなかったけど
本当はすごく辛くて

それでも、誰かに慰めて欲しいわけじゃなくて
でも、独りでいるのは怖くて
そんな時、林に会った

「俺、強くなれたかな?
 まだ、ピアノは少しの間しか弾けないけど
 それでも、少しは強くなれたかな?」

返事は返ってこない
くるわけない
わかってるけど
話しかけた
語りかけた

それに・・・
俺、上総って子を好きになったんだ

相手はただの友達としか思ってないし
好きな人もいる

それでも、大好きなんだ

三河先輩は
かっこよくて勉強もスポーツもできて
みんなの憧れで

「本当・・・勝てる気がしないよ・・・」

不意に弱音を吐いた
諦めてるわけじゃない
絶望してるわけじゃない
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