君がいたから
「上総っ!!」
俺に気付かず
隣をすれ違っていった
彼女の名を呼んだ
「青・・・くん」
振り返った彼女は
今にも泣きそうな顔をしていた
―――・・・・ふられたな
「こっちきて」
そう言って
彼女の手をとって自分のクラスへ
前に林が俺にしてくれたように
椅子へ座らせる
「泣きたいなら、我慢するな」
できるだけ優しく言葉をかけた
「・・・・・っ」
しばらくすると
彼女の鳴き声が聞こえてきた
「よく、頑張ったな」
そう言って、彼女の頭を撫でた
今の俺にできるのは
傍にいて、優しく頭を撫でることだけ
人を好きになる気持ちは
自分もわかるから
「私・・・・ふられ、ちゃ・・・・った」
顔を伏せたまま
彼女は言葉を発した