君がいたから

「ここ、か・・・」

先輩から渡されたメモを片手に
俺は上総のいる病室の前にいた

―――・・・って、なんていって入ればいい?


どうしよ、でも、
せっかくきたんだし・・・・



覚悟を決めてドアをノックする
ノックした後
しばらくしてから、
「どーぞ」という上総の声が聞こえた
たった三日会ってないだけのに
ずいぶん懐かしく聞こえる

ゆっくりとドアを開ける

「・・・青、くん」
「久しぶり」


驚いてる上総に比べ
きわめて平然と言葉を発した

「どうして?」

どうしての後に続く言葉は
きっと”ここに?”だろう

「先輩に聞いたんだ、ごめん」
「そっか・・・うん。来てくれて有難う」

そう言って
上総は笑った

無理に笑顔を作ってるのがばればれ
本当は、俺じゃなく、先輩に来て欲しかったんだろ?


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