夏草の香りが漂う丘〜風が運んだ過去(トキ)〜[ナツコイ企画]
「隆哉(たかや)くん?」

「はい、隆哉ですけど…えっ!?」

「私、中林 千尋…。覚えていない?確か…、小3の時に同じクラスだった…。」

「えっ〜!?」
「えっ〜〜!!!?」

自分の驚きの声に、大沢さんの声がそれ以上の驚きの声で被さってきた。

見てみると、吹き出したであろう、かき氷を拭いていた。

汚いな…、でも仕方ないか…。自分の母親と会社の先輩が同級生じゃ…ね。

「驚いた…、中林さんとは…ね。」

「久しぶりね。」

そう微笑む、千尋さんの視線を見て確信した。

大沢さんの眼力の強さは母親譲りだと。

だんだんと、引き込まれていく自分を感じていた。
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