命〜失って気付くモノ〜
そして6時間後…。





私は分娩室に案内された。



「じゃあ下着脱いで分娩台に乗って少し待っててくださいね」



看護師さんにそう言われ、私は言われた通り分娩台に乗り待っていた…




ここって…本当は出産する人が乗るんだよね…


ここって…新しい命が誕生する瞬間を味わえるとこなんだよね…


なんで私、こんなとこ乗ってんだろ…




よくドラマや漫画でこの瞬間に
『やっぱり止めます!!』
って飛び出すシーンを見た事があるけど、正に今の私は今にも飛び出しそうな衝動にかられた。




そんな時ようやく先生が入って来た。



そして手術で使う器具が並べられていく。


私はお腹に手をあて目を

ギュッ!!

と瞑り歯をくいしばった…


そして先生が注射器を片手に私の右腕を消毒した。


「じゃあ麻酔しますね。私が数字を順番に数えるので後に続いて言ってください」


そして右腕が

チクッ!!

と痛んだと同時に


「いーち」


『いーち』


「にーい」


『にーい』


頭がぼーっとしてきた…


「さーん」


『さーん』


「よーん」


『ょ-・・・』




私の目から一筋の涙がこぼれた…
< 149 / 201 >

この作品をシェア

pagetop