xxxFORTUNE
「どうかした、ホタル」
里音が続きを促すと、身振り手振りで始まった説明。
「窓がいきなり開いたら、こんくらいの黒猫がひょこって部屋に入ってきて」
「いつ?」
「今日の朝だよ」
佐久間さんと里音の会話に、全員が耳を傾ける。
今朝ってことは、洋館に来てから街中に出て行ったってこと?
黒猫も、あたしたちと似たような行動をしていたの?
「まるで、相手から僕たちに近づいているみたいですね」
そうよね。
誠の意見、すごく共感する。
どうして、わざわざあたしたちの行く先に姿を現したのかしら。
「たまたまってことも、あるんじゃない?」
恋千くんの考えは、もちろんだけど。
「そのうち、また洋館に現れるかもな」
さらっと言って、里音がまず大広間を出て行く。
そろそろ、案の定用意されていなかった夕飯を作らなきゃいけない。
「部屋戻ってるから、ご飯できたら呼んでー」
「右に同じく」
恋千くんと誠は、やっぱり家事の手伝いはしてくれないのね。