xxxFORTUNE
「だ.大丈夫よ!
だって、まだ禁止事項を破ったなんてバレてな───」
そこまで言いかけた瞬間、突然大広間に強い風が吹く。
窓がガタガタと音を鳴らして、あたしたちを包むかのように宙に舞う赤い花びら。
これは、薔薇?
よりいっそう強まった風は、一カ所で渦を巻いて
「禁止事項を、破った……?」
渦の中から、澄んだ声が響いてきた。
だんだん形がはっきりして、そこに姿を現したのは
「アヴァルア校長先生!?」
まさか、このタイミングで来るなんて。
「お久しぶりね、ベル。
いいえ、“ここ”ではすずだったかしら」
「おおおお.お久しぶりです!」
さっきの話、もちろん聞かれてたわよね?
「ところですず、禁止事項を破ったってどういうこと?」
ほらやっぱり…!
「ち.違うよっ、ヒメは何もしてないんです」
庇うように、飛び出してきた佐久間さん。
目の前でこちらに背中を向けたまま、両手を広げて立つ。
「ヒメは立派なお姫様になるの!
邪魔するなら、校長先生だって許さないぞっ」