xxxFORTUNE









琴葉ちゃんからもらった写真を頼りに、見慣れた庭先で幸せの象徴を探す。

しばらく探していると、以前は全く見つからなかったものが案外簡単に見つかってしまった。



想像以上に時間がかかってしまった勉強のせいで、“ここ”に来たのはいつぶりか覚えてない。



「ただいま」



小さく呟いて広い玄関を抜けると、安心するほどに変わらない空間。

懐かしさに、涙腺が緩んでしまいそうだった。



あたしは数日間だけ、またここで暮らす。

あまり頻繁には来れないけど、人間界に来る許可は幸運にも姫という地位がもたらしてくれた。



「里音っ!」

真っ先に、見つけた人へと駆け寄る。

何も変わらない、迎えてくれる優しい笑顔。


「すず、おかえり」

再会があまりにも嬉しくて、高鳴る鼓動。



「他のみんなは?」

「自分の部屋でそれぞれ何かしてると思う」


やっぱり、みんな自由人なところも変わらないのね。



「コトリちゃん、今日お昼ご飯いらないっ。
買って食べる…ね……、え、あれ、ヒメー!?」

お馴染みの佐久間さんの叫び声も、前と一緒。






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