希望という名のきみへ


何回かの昼と夜を経て、永遠とわたしは何度もその名を呼び合った。


それは存在を確かめる為であり、必要を確かめる為であった。

名を呼ぶ度、わたしの心には永遠に対する親近感と不思議な偏りが生まれていった。

永遠が傍にいることは当然で、手を伸ばせばいつでも触れることができるという錯覚だ。

その意識が、わたしの中で永遠を特別なものとして認識し始めていたのだ。


永遠と見た、テラの山々やそこから発する大きな川の流れ。

テラを埋め尽くす緑の草花とそびえる木々。

その景色は、ミテラで学んだ、過去のテラの姿そのままだった。


わたしたちミテラの住人は、どんな幻想をもってこの地を離れたのか?

長老達は、何を怖れたのか?


その疑問を抱いたまま、わたしは永遠と共に旅を続けた。


七回目の朝、ねぐらに選んだ山の洞から見下ろした崖の下に、わたしは小さな煌く光を見つけた。


「ミク、あれが母なるテラの泉だ」


わたしの傍らに立った永遠が、そう優しく囁いた。

わたし達はとうとう、泉に到着したのだ。
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