Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
「おはよう、陽依ちゃん。ご飯、出来てるよ。」
いつもと変わらない笑顔でそう言ってくれる樹さんに、少しほっとする。
リビングに入ると、夕都とたっくんがすでにいた。
「棗、竜と遥季起こしてきて。」
樹さんが棗さんに指示する。
…日頃、基本的に起こしたりはあまりしない。
それだけに、いつもと違う雰囲気にたっくんと夕都も顔を見合わせている。
「樹さん、あの…。」
「…陽依ちゃん、ちょっと話があるんだ。」
静かにそう告げられ、私は素直に頷くしかなかった。
「…朝はよからどないしたん?」
ふあっと大きなあくびをする竜君に、樹さんは呆れ笑いで言う。
「竜はいつもマイペースだね。…陽依ちゃんに、話をしようと思って。」
その瞬間、遥季が反応する。
「樹…まさか、」
「…もう潮時だよ。」
真っすぐに遥季を見つめる樹さんに、遥季は少し気まずそうに俯いた。
「…ここ、S寮にはね、陽依ちゃんと同い年の女の子が住んでいたんだ。」
樹さんが、ゆっくりと語りだす。
その一語一句を聞き逃さないように、私は真剣にその話に耳を傾けた。
みんな、静かに樹さんの言葉を待つ。
それはまるで、時が止まったんじゃないかと思うくらい、静かなときだった…──。