ONLOOKER Ⅲ

例の五人組



***

ある日の昼休み、1年B組の教室で、直姫は購買部へ向かおうと席を立ったところだった。
いつもは家政婦に作ってもらった弁当を持ってきているのだが、半月に一度、彼女が休みの日があるのだ。

真琴は仕事で小旅行中のため、一昨日から学校を休んでいる。
一人での昼食も三回目、という今日だった。

教室を出ようとすると、もう一つの扉から、例によって例のごとく、低い位置に小さな頭が覗いた。
直姫を見つけると分かりやすく表情が明るくなるその人に、人知れず苦笑を漏らす。


「直姫くんっ」
「こんにちは、東先輩」


そちらへ向かって小さく微笑むと、きょとんとした顔が返ってきた。
いつもなら、自分の席で真琴と談笑しながら弁当を広げているところに、千佐都から出向いていたため、その行動が意外だったのだろう。

そういえば彼女が来るのは数日ぶりだったと、不思議そうな顔の千佐都に直姫は思った。

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