ONLOOKER Ⅲ
これが、特にやることがなくても生徒会室にたむろするのが彼らの日常となっている理由の一つ、というわけだ。
それを包み隠す気など更々ない恋宵の物言いに、紅は苦笑を返す。
「ずるいことを言うな、お前は」
「ほんじゃま、行ってきマッチョ!」
「あ、行ってらっしゃい!」
柔らかな笑顔で送り出した真琴も、ひらひらと手を振ってみせた聖も、全くあいつは、と苦笑いでぼやいた紅も、ティーカップを片手にほとんど顔も上げずにパソコンに向かっていた直姫も、この時は思ってもみなかったし、気付くよしもなかった。
15分ほどして戻ってきた恋宵の顔は蒼白で、けれどへらりと笑みを浮かべて、やっぱお仕事入っちゃった、今日はもう帰るかにゃーと足早に生徒会室を後にした彼女に、何かあったのかと声をかける隙を見つけられた者は、いなかった。
九話・終