ボーカロイドお雪
 でもそれって、あたしはいつも二十分はロビーで待たされるって事になるんだよね。別に怒ってはいないけど、一応すねたフリして見せる。
 猛さんは身振りと手話で「ごめん」と謝るけど、あたしは帰り道の喫茶店で何かおごらせる事を条件に許してあげる、と決めている。まあ、それぐらいは花の女子高生の役得ってことで。
 もっともこの前お雪にこの話したら、「ああ、それで最近ウェストが太くなったのね。」とぬかしやがった!あのやろう、そのうち絶対外に野ざらしにしてやる!
 お雪の事と言えば、猛さんにはあのライブの秘密をまだ話していない。何度か打ち明けようとしたんだけど、生まれた時から音という物が無い世界で生きてきた人だから、あたしの言っている事がどうしても理解できなかったみたいだ。
 だから猛さんはお雪ともまだご対面していない。でもいつかは本当の事をきちんと説明しなければ、とは思っている。それにはお雪と直接会ってもらうのが一番いいだろうとも思っている。
 だからいつかは猛さんをあたしの部屋へ誘うつもり。そしてその時手話で伝えるセリフも、もう決めてある。

 あのね、今日はあたしの家に来ない?猛さんに会わせたい子がいるの。あたしの親友なんだよ。
 まあ、生意気で偉そうで口が悪くて、何かといえばしょうもないアニメギャグやオタクギャグやって、時々マジでむかつくんだけどね。
 あ、でもね、根はとっても優しくていい子なんだよ。
 それでね、その子はね、その子の名前はね……

「お雪」って言うんだよ。
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