私立聖ブルージョークス女学院
「え?カンタイジにハンタイジ……いや、すまん。僕は国語の教師ではないから。教師のくせに恥ずかしいのだが」
「ちなみにその字、中国ではこう書くで」
 そう言ってリン・ジンファンはホワイトボードに歩み寄り、もう一本のマジックペンで草冠の下に「乙」のような字がついた物を書いた。
「これが中国本土の『ゲイ』や」
「え?そうなのか?なるほど、日本と台湾と中国で全然違うんだな。ああ、でも日本でも戦前まではこの画数の一番多い字を使っていたとこの辞典に書いてあるな。戦後になってから簡略化した字なんだな」
「台湾では今でも昔通りの画数の多い漢字使うんや。これが繁体字。中国はえらい極端に簡略化した漢字を使うようになってしもうてな。それが簡体字。ウチら台湾人でもよう読めん時があるわ」
「ううむ。そうだったのか。しかし、とにかくこれで『芸は身を助ける』ということわざの意味は理解できたかな?」
「何か特技とかがあると、生きていく上で便利やとか、そんな意味やったんやな?」
「そう、そう。そういう意味だ。この漢字をよく覚えておくんだ。そういう意味の『ゲイ』なんだ。いいね!だから、もし他に持っていたらすぐに処分しなさい、その手のBL本は!」
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