雨をあびるアジサイ


「……あの……」


ほっと息をついたとき、美里がやっと自分からふるえる声をしぼり出した。


「ん?」



「……ごめんな……さい」



生地が破れそうなほど握りしめた手の甲に、涙がこぼれた。


ひと粒、ふた粒と、肌を滑るたびその力が強くなり、白い肌に青い血管が浮き出てくる。


ただならぬその状態。


初めて見せる切迫したような姿に、ぼくはさっきついた息をひゅっと飲んだ。
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