雨をあびるアジサイ
「ったく……デリカシーの欠片もないな」
やれやれ、といった表情でふり返ったとき。
美里の顔はサッと青ざめ、わなわなとふるえていた。
うつむいて唇をグッと噛みしめているその姿に、
「ごめん!あのバカヒゲが変なこといって!」
ぼくは必死に頭を下げてあやまった。
すると、美里ははっとしたように顔を上げ、いつもの表情にもどって首をふる。
「う、ううん……。いいのいいの。気にしないで。大丈夫だから」
「あ、ああ――」