雨をあびるアジサイ


「それにしても……」


しばらく沈黙が続いたあと、マスターはカウンター横の壁にかけてあるカレンダーを見ながらふとつぶやいた。



「もう2年か、あの日から」



「……お、おい。美里の前でその話はするなよ」


「おっと!そうだった。すまんすまん……」


感傷にひたってうっかりな言葉をはいたマスター。


バツが悪そうに、いそいそと奥のキッチンへ引っこんでいく。
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