ケーキに恋するパンよりケーキ!
砂糖菓子の魔法
公園のブランコがキーコキーコと軽快に音をたてながらかわいい少女が笑顔で振り向いた。





「お父さん!」




クロワッサン…いいや、甘いメロンパンのようなかわいい娘…。





「私パン屋になる!」




ピンクのほっぺが愛らしいかった。




それが…。


突然大きくなった娘は…。
「お父さん!私パティシエになりたいの!」





*******
学校から帰るなり階段をかけ上がる。



「お母さんただいま!…。」





「お帰りくるみ。」




私のお母さんはまだ二十歳そこそこにしか見えないくらいかわいい。





パン屋の…。実の娘が言うのもなんだけど、どっちが看板娘よと言いたくなる。





店長は…。即ち私のお父さん。
こないだケンカして口をまだきいてない。






早朝オーブンににらみ合いをしているお父さんに勇気を出して言ってみた。





それがいけなかった。





頭から怒られ。何故か悲しくなっちゃったし、言わなきゃよかった…。






進路のことを学校で聞かれたからお父さんに言わなきゃと思った。





先にお母さんに話すべきだったのに…。





頑固者のお父さんにいきなり夢を言ってみたのがいけなかった。





しかもケーキ屋になりたいなんて言って…。






「なんでケーキ屋なんだ?お前はパン屋の娘だ!」





あぁ…。なんて一人っ子は…。





とにかくそれから口をきいてない。





いつも一階のお店からはいい匂いがしている。





今日もあの強面のお父さんが作っているとは思えない…甘いパンの匂いがしていた。






ため息ばっかりでるから寝ることにした。






夢はたくさん、でもパティシエになりたいの…。





カタカタ…。






カタカタ…。





夜中に音がしている。





いつものパン屋に響く音とは違っていた。生まれた時から慣れしたしんだ音とは違って…。





「まさか…。泥棒とか?」





パジャマで下に降りていく。





オーブンが光っていた。




まだ火をいれるには早い…。





なのに仄かにオレンジにピンクに光っていた。





カタカタ…。





次の瞬間…。オーブンの扉が開き、キラキラ光るピンクの粉に舞い上がる小麦粉…。





そして…。


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