キミニアイヲ.
泣かなかった何年分かの涙が、今一気に出てしまっているような気がした。


父親に暴力をふるわれた時よりも

母親に捨てられた時よりも


信じていた人に裏切られた今この瞬間が何よりも辛い。



(今なら飛び込めちゃえるね……)


もう、莉子を止めてくれる人はいないのだから──…



橋に手を掛けようとして、ずっと持ったままだったプレゼントに気付く。


これも、もうきっと渡すことは出来ないんだろう。



莉子は川に向かってそれを投げ捨てようと、紙袋を持った手を上げた


──その時。



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