キミニアイヲ.


莉子は夕暮れに染まる街をとぼとぼと歩いていた。


すれ違うカップルや、楽しそうに笑っている女子高生達の声も、なんだかとても遠くに聞こえた。



無意識のうちに、莉子の足はある場所へ向かっていた。


キラキラと夕陽が反射して、オレンジ色に染まる大きな川。

その上に白い小さな橋が架かっている。


一本先にあるのは大きな橋だが、この白い橋には車が通ることは出来ない。



莉子は度々この橋に来ては川を眺めていた。


綺麗に澄んだ川を見ていると、自分自身も浄化されていくような気がしたから。


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