キミニアイヲ.
「な…何…!?何で!?いや…!!」


「…莉子……」



肩に頭を乗せたままの楓は、パニック状態で震える莉子に言う。




「……結婚…しような……」




黄緑色の瞳が閉じる。


涙が滲んで、何もかもが歪んでいく。



「…いや……」



──これは夢──


悪夢だ。



「やだ…楓……!?」



目が醒めたら

いつもの笑顔で、優しい声で名前を呼んでくれるんでしょう?


ねぇ…早く笑ってよ!!



「嫌……!いやぁぁぁ!!!!」



楓を抱きしめる莉子の悲痛な叫び声が、澄んだ空に響き渡った。








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