キミニアイヲ.





空から舞い落ちる、真っ白な粉雪。

今年はまたホワイトクリスマスになりそうだ。



淡いオレンジ色の優しい灯りに照らされる教会。


この時期この場所へ来るのが、もう毎年恒例となっていた。



「…遅いなぁ…。電話でもしてるのかな?」



莉子はコートのポケットに手を突っ込んで、キャンドルを眺めながら白い息と共に独り言を呟いた。



『温かい飲み物でも買ってくるから待ってて』

と言って自販機のある所へ行ったまま、彼は戻ってこない。



(一緒に行ってもよかったのに、変なの…。)


不思議に思いながら、ブーツのかかとを上げたり下げたりして彼を待っていた。


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