キミニアイヲ.
ベンチに座って仕事用の携帯をいじる。

客と合流したり、ホテルから出たりする時に、逐一報告するために持たされているものだ。


すぐ送れるように“合流しました”と打って保存しておく。


そして携帯に映される時間を見て、そろそろかなと顔を上げた。



仕事帰りのサラリーマンが歩いていたり、酔っ払ったオジサマがタクシーに乗り込んでいたりする。


社長らしい人はまだ見えないな…

と思いながらゆっくり周りを見回していると。



「……?」



じっと莉子の方を見ている男がいることに気付く。


暗いし遠くてよく見えない…が、男はこちらに向かって歩いてくるようだ。



目を凝らしてよく見てみると…


その人の顔が分かった瞬間、莉子は目を見開いたまま固まってしまった。



< 43 / 370 >

この作品をシェア

pagetop