キミニアイヲ.
「えぇッ!?そんなことがあったの!?」
楓と会った日の数日後。
莉子の部屋で、巷でおいしいと評判のロールケーキを食べながら、雪音が大きな瞳をパチパチさせている。
「本当に何もしないで帰ったの!?キスも!?」
「されたけど…ほっぺに一回…」
「学生かっつーの!!」
雪音のツッコミにも反応せず、莉子は黙々とケーキを食べる。
あの日以来、莉子は楓のことが頭から離れなかった。
何をしていても、楓の少し低い声や優しい笑顔を思い出してぼーっとしてしまう。
莉子の様子が気になった雪音は何があったのか聞こうと、こうしてケーキを持ってやってきたのだった。