真昼の月
真昼の月
今日は水曜日だ。あと二日で外に出られる。
そう思うとうれしい。自分の部屋に戻りたかった。

トモに連絡しないといけないから。
そういえば月を見ていない。今は昼だけど月は出ているかしら?

外に出てみた。浅黄色のやさしげな空に薄く雲がひとはけ掃いていた。
そのあとを眼でたどると、あった。

白く生気のない月が抜け殻みたいに空に写っていた。
光はないけど、うれしかった。そこに見たことのないトモが笑っているような気がした。

しばらく眺めていたけど、寒くなってきたので中に入った。

もう11月だ。誕生日が近い。誰にも祝ってもらったことがなかったし、
自分の誕生日なんて意識したこともなかったけれど、そのとき一瞬、
ああもう22年も生きてきたんだなあと感慨深い気持ちになった。
人生を語るには早すぎるのかもしれないけど、22年は長いと思った。

いろんなことがありすぎた。

ありすぎた出来事ばかりを追っていったら普通の人の2倍の速さで生きているんじゃないかと思う。

あたしは固まったままなのに、
状況だけが早回しで進んでいく。そんな感じ。
これでいいのかな?でもこのままじゃいけない。
いけないと思うのだけど、からだが言うことを聞かない。

ここにきてやっと外に出られるようになった。外に出ると言うことが刺激になるくらい、ここの生活は単調だった。そして誰かと話すと言うことを覚えた。今までは自分の思ったことなんかぜんぜん話せていなかったのに、杏奈と麗のおかげで、人と交わることを学習したみたいだった。

ちょっとは進んでいるのかな。あたしは自分に微笑した。
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