夏の日の終わりに
 理子の家に着くと、久しぶりに顔を合わせる二人の笑顔は羨ましいほどだった。

 美香さんは理子の現状にも動揺せず、明るく振る舞って見せる。これほど楽しげな理子を見るのは久しぶりだった。

 離れていてもずっと手紙や電話でのやりとりをしていたそうで、まるで姉妹のような親密さを見せた。

(やはり俺一人では理子の力になれないんだな)

 明るさを取り戻した理子を見ながら、僕は自分に失望していた。
< 130 / 156 >

この作品をシェア

pagetop