lacrimosa
「―――…………、」
「―――…ナン、デ」
ようやく視界がはっきりすると、さっきまでのフランスの街があった。
リュカは死んではいなかった。てっきりその覚悟はできていたというのに。
(…あいつは)
咄嗟に左右を確認してアンジェロの姿を探すも、あの微笑みの天使はどこにもいない。
(…まさか)
けれどあの石は自分には使えないはずだ。
アンジェロがそう言っていたじゃないか。自分を殺しでもしなければ、他人にその力は使えないと。
――――何故?
(…消えたのか?アンジェロ)