lacrimosa







以前、煌々と神聖な輝き、一面に溶けるような“白”を放っていたそれはもう、そこに存在しない。



(………、)



突き刺すような痛みが、強烈にサーシャの胸を灼いた。

見るも耐え難いその姿を前にして、目を逸らしたくなるほどに。




『―――ナ、イ』


それは憐れみだろうか、嫌悪だろうか。

彼女に、蠢く感情の名前はわからない。



(………、)



真っ白でふわふわの羽はなかった。

変わりにあったのは無惨な残骸、痛々しく僅かに毟ったあとを残した骨。

――――骨だ。














(…天使なんかじゃ、ない)





















(…痛そう、)

(…可哀想、アンジェロ)

















(…綺麗じゃ、ない)

(…気持ち、わるい)











無数に蠢く感情の名前が、彼女にはわからない。










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