星の船 ー淡い月の鍵ー

「うっ、うく、シ、柊(シュウ)くん〜」
私は涙溢れる顔を、ごしごしと手で擦り、


「おっ、お土産…たの、楽しみにしてるから、から…。き、気をつけてっ、行って来て、ね」  
涙を堪え、柊に挨拶を送る。

堪える涙で、喉の奥も、胸も、痛かった。


ずっと、ずっと、楽しみにしていた学校の倶楽部旅行。
私達の学校では、初等科から高等科まで学年の隔たりなく好きな倶楽部に所属する事ができた。

そして、秋休みを利用した研修旅行も、倶楽部活動の一環。



ずっと、
ずっと、楽しみにしていた。



みんなと行ける、

柊ちゃんと行ける、

月への倶楽部旅行。





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