炭坑の子供たち(2)

登下校

 雨の中、登校している子の中には

コウモリ傘を裏返しにして、遊んでいる子もいれば

ボロボロの破れ番傘を、差している子もいたし

中には、ブカブカのヘルメットを、かぶって来る子もいた。

極め付きは、戦争中に、兵隊さんがかぶっていた、鉄カブトであろう。

その子を見つけると、みんな面白がって、手や棒で叩きに行くが

平気な顔で、ヘラヘラと笑っていた。

登校時に、キンカンの木に下がった、首吊り死体を見たり

池に浮かんだ土左衛門を見て

多少ショックを受けるが

カウンセラーが、心のケアと称して、学校に来る事もないし

ショックで学校を休む子などは、1人もいなかった。

嫌なものを隠すのではなく、何もかも見せていた。

百聞は一見にしかず、人間、死んだらああなるんだと、いっぺんに理解でき

お陰で、自殺なんかする子なんていないし

生きるのに勢一杯で、死ぬ暇なんかなかった。
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