-恋花火-
どうしたいか?

じゃなくて、

どうするべきか?

そう考えたら、自ずと答えは出る。

……決めた。





町にはたくさんの夜店。

観光客も浴衣姿で出歩いている。

今日は毎年恒例の花火大会。

いつにも増して活気のある雰囲気に、子供の頃は心躍っていた。

両親は忙しくて、連れて行ってもらった記憶はない。

でも、いつだったか…

子供だけで集まって出歩いたなぁ。

懐かしいな。


「若女将、お客様が…」

「はーい!!」


そう懐かしんでる場合でもない。

センパイとの約束の時間を気にしつつ、お客様の対応に追われる。

もう7時…。

そろそろこっそり抜け出さなきゃ。

私は、センパイを選ぼうと思う。

祥ちゃんの幸せを願うなら、私じゃダメなんだって思ったから。

タイミングを見計らって、裏口に行こうとした、その時。


「若女将!大変です!」

「なっ、なに??」

「松の間の子供さんが迷子になられたようで、先ほどご両親だけお戻りに…」

「えぇぇ!?」


予想はしていたけど、やっぱり行けそうにない…。


「私っ、外探してきます!!」


チェックインのときの記憶と、借りた写真を頼りに、5歳の男の子を探しに出た。

…そういえば、

私も迷子になったことがある。
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