-恋花火-
- 来週の土曜日、夜7時半。

- 公民館の前で待ってるから。


センパイはそう言った。

女将の仕事で、行けない確率のほうが高いですよって言ったんだけど…。

悩む。

本当はきっぱり断るべきだったんじゃないかな?とか。

でも、祥ちゃんの背中ばかり追ってても仕方ないんだよね。

絶対に叶うはずないんだもん。

センパイなら、私のこと大切にしてくれる。

一緒にいると安心する。

だから…

余計に悩むんだよ。


「来週の土曜日?」

「うん、花火大会があるの、知ってる?」

「そういえばポスターを見た気がする」


仕事終わりのかやのちゃんをつかまえて、思っていることを吐き出す。

そうでもしなきゃ、気持ちの整理がつかないから。


「結局、どうしたいの?」

「……え?」


それがわからないから相談してるのにな。

でも、かやのちゃんは言う。


「本当は、もう心の中で決めてるんじゃないの?どっちにするべきか、ね」

自分の胸に聞いてみる。

私、どうしたいんだろう…?
< 17 / 22 >

この作品をシェア

pagetop