恋人 × 交換!? 【完】
返事をしたけど、拓人さんは一向に腕を離そうとはしない。
包まれたまま、行き交う人たちの視線をたまに感じながら、時間が過ぎる。
「……拓人……さん……?」
何度目かの私の声に反応して、拓人さんは「あのさ」と静かにいった。
「ダメかな」
「えっ……?」
「新しい恋人。ダメかな、ぼくじゃ」
「え……っ!?」
早鐘のようだった胸に急ブレーキがかかり、交替で銅鑼のように鳴った。
密着してるから、この鼓動は絶対伝わってるはず……そう意識すればするほど、ますます大きくなっていく。