タイトル未定

沖田先生は話し終えたあともまだ夕陽を見つめていた

あたし、全然知らなかった
新選組にはそんな過去があったなんて
山南先生あたしに自分みたいになってほしくなかったからああやって心配してくれてたんだ人を斬ることを簡単に考えてた
あたしってほんとバカだ

それからのあたしはなにも話せなくなり黙って夕陽を見つめていた
沖田先生もなにも話さずただ隣で夕陽を見つめていた


どれだけの時間が流れたのだろう

「櫻木さんにだから話したんです
このことはくれぐれも内密に
さぁ、そろそろ夕飯のじかんです
戻りましょう」

ボーッとしていたあたしがはっとなって隣を見ると沖田先生は立ち上がって手を差し出してくれた
沖田先生が月に照らされてとても美しくみえた

「はいっ」

あたしは迷うことなくその手をとり縁側をあとにした

桜が満開に咲くこの春の夜に美咲はなにを考え、そしてなにを見つめたのだろう
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