甘い毒

欲しいものは、たった一つ。

それ以外はいらない、望まない…


「どんどん綺麗になってくね。」

「どんどん口が上手くなってくね?」

「嘘じゃねーし。」


そう言って笑った貴方は、優しく私に口づける。


「‥‥ふふ。」

「何?」

「キスは下手。」


からかうように笑うと、目の色を変えるのは知っているから…


「今のは挨拶。」

「そ?」


貴方の返事に、可愛く首を傾げてみる。


「これが、キス。」


唇が触れ合う直前に囁いて、深いキスをくれる。


甘い、甘いそれは

私を蝕んでいく。


そう、まるで毒のように…
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