君桜
ん~…、なんかくすぐったいよ~…
誰かがあたしの髪の毛を触っている気がする。
重たい瞼は中々開かない。
「…葉奈?」
…学さんの声…。
やっと目が開く。
目の前にあったのは学さんの鎖骨。
「…わっ」
びっくりする。
上を向けば学さんが居て…、ってアレ?ここ、学さんのベッドだ。
あたしと一緒に学さんが寝てて……
学さんの手はあたしの頭を撫でていた。
「…学さん、お帰りなさい」
そういうと、驚いた顔をする。
「……俺が出かけたこと知ってたのか」
小さく苦笑いした学さんは「ごめんな」と言ってあたしの後頭部に手を回し、自分の胸に押し付ける。
…温かい…
さっきほしかった温もりって、コレだな…。
夕方に寝て、今はきっと夜だと思う。
「熱、少しだけ下がったっぽいな」
優しい笑みであたしにそういった学さん。
確かに、少しだけ身体は軽くなった。