冬うらら~猫と起爆スイッチ~

12/24 Fri.

●158
 シャンシャンシャーン。

 クリスマスクリスマスクリスマスクリスマス。

 メイはケーキを売っていた。

 この日が、一番の稼ぎ時だ。

 わざわざ店の前に特設店舗を作って、メイはもう一人の女の子と2人で立っていた。

 今日の天気は晴れ。

 生憎、雪は降らないということだが―― それが、こんなに嬉しい日もなかった。

 たとえ、彼女らはサンタ風の衣装を着込んでいるとは言え、結局スカートである。

 タイツをはいてブーツを履いていても、裾から寒風が吹き込んでくるのだ。

「早く売ってしまおうね。そしたら早く帰れるよ」

 もう一人の子は、バイトが長い。

 去年のクリスマスもこうだったらしい。

 去年は予想外に早く売り切れて、仕事上がりも早かったという。

 今年もそうだといいな、とメイは思った。

 でも、去年売り切れたせいで、今年は去年よりも街頭販売のケーキの数が多いのだという。

 それは、ちょっと嬉しくない材料だ。

 とにかく、大きな声で呼び込まなければいけない。

 そういう仕事はやったことがなかったが、やります、ということで雇ってもらったので、今更ダメだと言うワケにもいかなかった。

「大丈夫。最初の一歩を踏み出してしまったら平気だって。こっちはサンタの格好してるしね。女の子のサンタは目を引くんだよ」

 励まされて、メイはすぅっと息を吸い込んだ。


「メリー・クリスマス! ケーキはいかがですか?」
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