冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 ショーツは、ぴったりだった。

 でも。

 メイは、ブラを取った。

 すると、2種類同じ柄のブラがあるのに気づく。見れば、サイズが違った。

 サイズを知らないハルコが、大体の予想で二種買ったのだろう。

 片方は、見事に当たりだった。

 自分のサイズを取ってつける。

 早くしなければ、さっき捨てたあの気持ちが、足を伝って登ってきそうだった。

 いや、もう冷たい手で彼女のふくらはぎの辺りにいるかもしれない。

 スリップ。

 それから、服を取る。

 ウールのワンピースだった。
 白くて。タイツも一緒においてある。黒だ。

 全部着込むと、まるで自分が顔の黒いヒツジになったような気持ちになった。
 勿論、メイは顔が黒いワケではない。

 しかし、この黒いタイツのせいで、そういうイメージを抱えたのだ。

 ヒツジ。

 おとぎ話では、いつもオオカミがかじりたがる生き物。

 定番のシチュエーションだ。

 けれども、カイトはヒツジを食べようとはしなかった。

 全然、危ういことなんかなかった。

 皿の上のヒツジだったにもかかわらず、歯形一つつけられていない。


 ――オオカミの気持ちが分からない。


 メイは、うつむいた。

 その瞬間、冷たい手がふくらはぎに触ったような気がした。

 また、あの感じだったのだ。

 急いで脱衣所から逃げ出して、強く強くドアを閉めた。

 隙間から、追いかけてこられないように。
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