不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生
「ま、頑張れや。俺はお前に期待しているからな。本音を言えば……ま、気にするなよ。お前にもう少し身長があれば申し分ないんだけどな」

痛いとこを監督は突く。


「俺、これでも165cmはあるんだけど……」
俺は肩を落として言った。


「ま、気にするな俺はもっと低いから」
監督は俺を慰めるように言ってくれた。
俺は頷きながら、監督の一言一言に励まされる自分に気付いていた。


教室に戻る前に、グランドに一礼をする俺。


「その精神を忘れるなよ」
監督が言う。


――何時もありがとうと言う心。
サッカーにも、グランドにも、仲間にも……

監督は何時も教えてくれていた。




――そうだ。
今まで気付かなかった。


――それ程監督が大きい存在だったんだ。

その時俺は思った。
監督のような人になりたいと。


(――俺って……
なんて器の小さな人間なんだろう)

校舎に戻る途中、監督を見て思った。
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