不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生
少し遅れて待ち合わせ場所に行くと、有美は手鏡を見ていた。

俺はその鏡に映る有美を無意識に見ていた。


(――あ、ヤバ……
つい癖が出た)

そう、みずほのウインク。


でもその時有美が、俺に向かって鏡越にウィンクをした。


思わず、ドキンとした。


そして俺は、戸惑いの中にいた。


ドキドキしていた。
みずほの可愛い仕草と重ねて、胸が張り裂けそうだった。


俺のプレゼントしたコンパクトのミラーに映る、みずほの飛びっきりの笑顔とウインク。

ハートがキューンと疼く。


みずほの居ない寂しさに押し潰されそうになった。


「ゴメン。みずほの真似しちゃった」
ペロリと舌を出す有美。


「知ってたのか?」
俺の質問に有美は頷いた。


「アツアツみずほのラブコール。知らない訳がないでしょう」
有美は笑っていた。
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