それでも朝はやって来る
ーーーーえっ!?




そんなところにあるはずがない差し出された手に驚いて、朝子は目を見開いた。


そこに立っていたのは、真楯だった。


酷く冷たい目をして朝子達を眺めていたのだ。






「悠里様、まだ月は満ちておりません。明後日の満月の夜までお待ちくださいと申し上げたはずですが…」



「……………」






悠里は大きな溜め息をついて、朝子の胸をパジャマで隠すと、何も言わずに上から退いた。





訳が分からず、ボタンが止まってないパジャマを掴みながら、ソファから身を起こして二人の様子を伺っていた。



悠里は舌打ちをして、真楯をジロッと睨むとそのまま朝子のことを振り替えることもせず立ち去ってしまった。



なんとも言えない焦燥感に、朝子はその場から動くことができなかった。






真楯が毛布を肩からかけてくれた。




いつも、そうだ…




悠里は自分の欲求だけ朝子にぶつけて、後のフォローはすべて真楯がする。

それが彼らのスタイルなんだろう。




あたしの気持ちなんか、全く考えてくれてない…



せめて、振り替えってくれれば…


顔を見れば、表情がわかるのに…





何を考えてるのか…






もっと知りたい。




あの人の役に立ちたい…



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