それでも朝はやって来る
「もう!」


床にぺたんと座り込んだまま、悠里が出ていった扉を見つめた。


真楯が、ふわりと毛布で体を包んでくれた。




悠里はいつもそうだ…

自分の気持ちだけ勝手にぶつけていく




「すすす…すいません、先生」


「ここでは、先生ではありません。

朝子様…

真楯とお呼びください」





なかなか毛布を掛けた手を離してくれない真楯に、朝子はどうしていいか分からなかった。


ワンピースと下着を握りしめていたので、少し恥ずかしくもあり、早く着替えたい。


動くことができないジレンマと、近くにいる真楯のほのかな煙草の匂いに、心臓がドキドキし過ぎて悲鳴をあげていた。






心臓が爆発しそうで限界を越えようとしたその時…………



真楯がふわりと後ろから朝子を抱き締めたのだ。



「………ドレス…、とてもよく似合ってますよ」



耳にかかる吐息に、心臓が羽上がって口から出そうになった。


後ろから抱き締められているため、真楯がどんな顔をしているか、全く分からない。


カチコチに固まった体は、全く動かなくて…


真楯の薄い唇が、朝子の耳朶にそっと触れる。



「そんな美しい背中…

誰にも見せたくない……」



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