それでも朝はやって来る
そのまま、スッと朝子の体を離し、「すいません」と言って出ていった。




扉の閉まる音で我に返った朝子は、ペトンと後ろに倒れ込んだ。







なななななな…





今…の……






先生、タバコ……

……………吸ってたっけ?




そんなこんなでドレスを脱いでワンピースを着ると…


頃合いを見計らったかのように、執事の木槿がノックをして二人の使用人と部屋に入ってきた。


悠里が選んだワンピースに合うように、髪をアップして化粧をし、小物まで選んでくれて部屋を出ていった。



憎らしいが悠里が選んだワンピースは、本当に自分に似合っていた。



鏡で全身を見ると雑誌の中から飛び出してきたんではないかと思うぐらい完璧だった。


化粧もうっすらとだが丁寧に施され、キツイ性格には見えないような柔らかさを醸し出していた。





木槿にエスコートされて、屋敷の一番大きな部屋の前にたどり着いた。


その前には、悠里がこざっぱりしたスーツを着て満足げに笑っていた。


「やっぱ、俺の見立ては間違ってねぇな」


左手を差し出されて、扉の向こうに促された。


この扉を一歩入ってしまったら、もう後には戻れない気がした。





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