それでも朝はやって来る
「ってーな」


ソファから落とされた悠里が、櫂を睨みながら起き上がる。

隠れるように、朝子は櫂の後ろに隠れた。


すっと櫂と朝子の前に悠里が手を差し出した。


「朝子…来いよ」


悠里は朝子を見て言った。


ああ、これは命令だ。


櫂は朝子を心配そうに振り返った。



「朝子、来るんだ」



自ら悠里のところへ来いといってるんだ。

おずおずと櫂の前に出て、悠里の手をとった。


「朝子!?」


櫂は驚きを隠せなかった。


きっとあいつのことで、屋上で泣いていたのだろう。
あの勝ち気な朝子が嫌がる気持ちを押さえて、相手に屈するなんてあり得ない。


どんな取り立て屋でも、学校の虐めでも戦って来たのに…

何かがおかしい…


悠里は朝子の手をとると、自分の体の方へ抱き寄せた。

朝子の肩越しに、櫂を睨み付ける。

何か言いたげに朝子は櫂の顔を見ていた。



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