それでも朝はやって来る
*****


朝子は校門のところで櫂を待っていた。

櫂はいつもと変わらない様子で学校に来ていた。


「櫂兄…」


力なく名前をよぶと、櫂は右手を上げて朝子に答えた。


「はよ。どうした?朝からそんな暗い顔して…」


気遣うように朝子の顔を覗きこんだ。


「大丈夫なの?昨日の今日で学校に出てきて…」

「昨日…?朝子に会うの大分久しぶりなんだけど…」


櫂は額にシワを寄せて、少し困った顔をしていた。


「なんだ。生徒会の仕事が忙しくてなかなかお前のこと、構ってやれなかったもんな!今日は久しぶりににーちゃん、朝子の手料理が食べたいな」

「ねぇ、本当に忘れちゃったの!?」


櫂の制服を掴んで必死に訴えるが、櫂は困った顔をするばかりだ。


本当になんにも覚えてないんだ…

あたしを助けようとしてくれたことも…


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