それでも朝はやって来る
6 激しい雨×紅い印

昨日のことは夢だったんだろうか…

どうやって部屋に帰ったのかも覚えていない。

あれから朝一で、朝子は櫂にメールをしたが返事が返ってこなかった。




携帯をカバンに入れて、制服に着替えた。

朝御飯を食べる気にはならなかったが、喉がカラカラに渇いていたのでキッチンに寄った。

冷蔵庫を開けて、麦茶を取りだし扉を閉めた。


「おはようございます、朝子様」


急に真楯が立っていて、麦茶を落としそうになった。


「大丈夫ですか?」


真楯の手が朝子の手と麦茶の容器を一緒に支えた。


「さ…触らないで」


麦茶を乱暴にカウンターに置くと、真楯と目もあわさずカバンを手にして、出ていってしまった。



「嫌われたもんだな」


階段を降りてきた悠里が欠伸をしながら言った。


「…の様…ですね」

「気にするな…そのうち慣れる」


悠里は自嘲気味に笑った。


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