それでも朝はやって来る
ポンポンと2回ほど、優しく頭を叩かれた。


「気にしてませんよ」


信号が赤になったので、朝子の方をしっかりと見て真楯はそういった。


「あれは事故のようなものですから、朝子様も忘れてください」


朝子は、こくりと頷いた。

気にしないと言われて、何だか胸の奥に何かが挟まってなかなか取れないみたいだ。




「さあ、お疲れでしょう。少しお休みになられてください」


朝子が疲れているのを察してか、それ以上話かけなかった。



やがて朝子は、心地よい揺れに身を任せてうとうとと眠りに入った。

真楯は眠りに入った朝子を横目で確認すると、首元にうっすらとついた赤い鬱血を見つけた。

「……後、一ヶ月弱…か…。急がなくては…」



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